フリーランスが加入できる保険、できない保険とは?

フリーランスとして働くことを考えるとき、少々やっかいに思える健康保険の問題。フリーランスと会社員では加入できる保険の種類が異なり、さらに保険料の自己負担額も変わります。

この記事では、フリーランスが加入できる保険、できない保険について解説します。

一見難しく思える保険の問題ですが、出来るだけ簡単に、ポイントを押さえて、分かりやすく、紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

 

会社員とは違う、保険の加入や自己負担額

 

-会社員の場合

 
会社員として働く場合は、会社の健康保険組合に加入することになります。いわゆる「社会保険(社保)」と呼ばれるもので、保険料は、会社と本人がそれぞれ半分ずつ負担します。本人の負担分は月々の給料から天引きされ、健康保険組合に納付されています。

また、加入者に扶養家族がいる場合でも、保険料は変わりません。保険加入の際の各種手続きも会社がやってくれるので、本人の手間はほぼないと言えます。

 

フリーランスの場合

 
会社に属さないフリーランスの場合は、会社の健康保険組合に加入することはできません。現行の日本の健康保険制度は、何かしらの保険に加入しなければならない「強制型」で、滞納を続けると、保険証を没収されたり、最悪の場合財産を差し押さえられたりしてしまうことも。

そうならないためにも、自分で保険に加入する必要があります。自己加入する場合の保険料は、全額自己負担です。

 

フリーランスが加入できる健康保険

 

市区町村による国民健康保険

 
国民健康保険のうち、全国の市区町村が運営する保険です。加入の手続きは、自分の住民票がある市区町村の役所で行います。

保険料は、「医療分」「後期高齢者支援金分」「介護分 (40歳以上65歳未満の加入者のみ)」の3つの合計金額です。前年度の所得によって算出され、年度や市町村によって金額に差が出ることもあります。

また、会社員が加入する健康保険とは異なり、国民健康保険には扶養家族という考え方がありません。家族の人数が増えれば、その人数と世帯年収に応じた保険料を納めることになります。

 

組合による国民健康保険(健康保険組合)

 
国民健康保険組合が運営する保険です。その名の通り、医師・薬剤師・建築土木といった同業種の組合員からなる組織です。

例えばコピーライターや写真、イラストレーターなどの方が加盟する「文芸美術国民健康保険組合(文美国保)」の場合、平成30年度の保険料は、収入に関わらず1人あたり月額19,600円です。40歳以上65歳未満の加入者は4,000円の介護分が加算されます。

同一世帯の家族いる場合は、1人につき月額10,300円で加入することができます。

フリーランスとしての収入が低いうちは、市区町村の保険料よりも高額になる傾向です。所得が300万円を超えてくると、保険料が一律で変わらない文美国保の方が負担も少なく、お得になります。

 

会社の健康保険を任意継続

 
フリーランスになる直前に会社員として働いており、そのまま会社の健康保険を継続するのが任意継続です。

会社員時代に会社が負担していた分の保険料も全て自己負担になりますが、場合によっては国民健康保険に加入するよりも保険料を安く抑えられる場合があります。

任意継続の条件は大きく2点です。

 

①会社員として継続して2か月以上保険料を支払った実績があること

②会社を退職した翌日から20日以内の間に加入手続きを完了すること

 

また任意継続の加入期間は2年と定められており、一度加入すると2年が経過するまで解約できません。

加入に当たっての取り決めはやや厳しく、保険料を1日滞納しただけで脱退させられたという事例もあります。

 

家族の健康保険の扶養に入る

 
フリーランスとしての収入が少なく、また家族の中に社会保険に加入している人がいる場合は、その家族の扶養に入る方法があります。扶養家族になると、本人にかかる保険料は0円です。家族の保険料が増えるようなこともありません。

扶養に入るための条件は、大きく4点です。

 

①被保険者の家族との続柄が三親等以内であること

(三親等以内…自分から見て曾祖母、祖父母、父母、伯叔父母、子、孫、曾孫とその配偶者。兄弟とその配偶者、甥姪とその配偶者。配偶者とその曾祖母、祖父母、父母、伯叔父母、兄弟姉妹、甥姪)

②年収が130万円以下(月収10万8,000円以下)で、なおかつ被保険者の年収の約2分の1未満であること

③健康保険の被保険者と生計を共にしている(被保険者の収入でもって生活が成り立っている状態である)こと

④退職日などの事実の発生の翌日から数えて原則5日以内に加入すること

 

フリーランスが加入できる年金保険

 

国民年金保険

 
20歳~60歳までのすべての日本国民に義務付けられている制度です。納付期間の全40年間保険料を納めると、65歳から年金が支給されます。

平成30年度の定額保険料は月額16,340円で、年度により金額が異なります。

フリーランスの収入が低く納付が難しいときは、年金の保険料を一時的に免除・納付猶予してもらえる「保険料免除制度・納付猶予制度」を利用することもできます。

※ただし、将来給付される年金額に影響します。

 

付加年金制度

 
年金の定額保険料に付加保険料を上乗せすることで、将来受給する年金額を増やすことができる制度です。国民年金保険の加入者が対象となります。

付加保険料は月額400円で、老齢年金の年額に200円×加入月数分が加算されます。

加入から2年納付すれば、年金額のプラス分で元が取れる計算になりますので、老後の蓄えを増やすために有効です。

 

国民年金基金制度

 
国民年金に加入している20歳~60歳の人が活用できる制度です。月々に支払う国民年金に掛け金を上乗せすることにより、掛け金に応じて将来受け取れる年金額を増やすことができます。

収入やライフスタイルによって掛け金を変更することができ、また上乗せして支払った分は全額所得控除の対象となります。

給付の型は、終身年金(A型・B型)と、確定年金(Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型・Ⅳ型・Ⅴ型)です。何口加入するか選択でき、口数によって受け取る年金額が変わります。

加入者が年金の保証期間内に死亡した場合は、遺族に一時金が支払われることになります。

 

確定拠出年金(個人型)

 
通称「iDeCo」と呼ばれる私的年金の制度で、フリーランスも加入対象です。公的年金に上乗せして掛け金を支払うことで、将来受け取る年金を増額することができます。

掛け金は月々5,000円~、1,000円単位で決めます。フリーランスの場合は、現在年額81.6万円(月額6.8万円)が限度額です。この積立分は所得控除されるため、税金の面でもメリットがあります。

掛け金は預貯金や投資信託の元本として積み立てられ、自分で投資・運用する商品を選択します。この運用成績によって、将来の年金受取額が決定します。

 

フリーランスが加入できない保険と受けられない手当

 

雇用保険(失業保険)

 
失業手当や失業保険といった基本手当や、育児休業・介護休業時の給付を受け取ることができる制度です。

個人事業主として開業届を提出しているフリーランスは、失業保険の受給資格がなく、手当が受けられなくなります。

 

労災保険

 
会社や団体に属する人が、通勤途中や仕事をする中で怪我や病気、障害を抱えた、死亡したといった労災が起こったときに保険金を給付する制度です。怪我や病気によって仕事ができないときでも、最長1年半の間、標準報酬日額の3分の2の手当を受け取ることができます。

原則としてフリーランスはこの労災保険の加入対象になりません。

 

厚生年金保険

 
基礎年金である国民年金に上乗せされて給付される年金です。加入対象は会社員やサラリーマンで、フリーランスが加入することはできません。

 

まとめ

 
会社員と比べると保険料や年金の面で不利に思われるフリーランスだミィが、近年、負担を軽減し、不足分を補うための制度も確立されてきているミィ。

自分の収入やライフスタイルに合った保険を選択し、賢いフリーランス生活を送ろうミィ!