フリーランスの方にも影響大!? 2023年10月開始のインボイス制度への対策とは (続編)
いよいよ2023年10月1日から導入が開始されるインボイス制度について、個人事業主やフリーランスに影響があることは「フリーランスの方にも影響大!? 2023年10月開始のインボイス制度への対策とは」でご説明しましたが、改めてインボイス制度や、2022年12月16日に発表された個人事業主やフリーランスの負担緩和に関する内容などをご説明します。
目次
インボイス制度のおさらい
- 適格請求書を発行できるのは「適格請求書発行事業者」のみで、そのためには「課税事業者」である必要があります。個人事業主やフリーランスは、税務署で申請・審査を受けると「適格請求書発行事業者」になれます。
- 事業者は「課税事業者」なのか「免税事業者」なのかによって、取引先との契約に影響が生じたりや収入面が変わる可能性があります。
- 2023年10月1日から適格請求書を発行したいのであれば、2023年3月末までに登録をする必要があります(免税事業者の登録期限に関しては緩和されました。詳しくは「令和5年度税制改正大綱について」をご覧ください)。
インボイス制度導入による影響について
大きな影響を受けるのは、課税売上高1,000万円以下の事業者や個人事業主で納税をしていなかった免税事業者です。
免税事業者の方は、取引先から契約の終了や値引き交渉をされたりする可能性がありますので、課税事業者になるか検討しなければなりません。
実際に個人事業主やフリーランスにとってどんな選択肢があるのかを説明します。
ケース①:現在課税事業者の場合
現在すでに課税事業者であれば、インボイス制度導入により収益などに大きな影響を受けることはありません。申請期限までに適格請求書発行事業者としての登録をしてください。
ケース②:現在免税事業者だが課税事業者になる場合
現在免税事業者で、インボイス制度導入に合わせて課税事業者になる場合は、消費税の納税義務が発生してきます。納税をしなければならなくなるので、手元に残るお金がいまより減る可能性あります。
ケース③:現在免税事業者で今後も免税事業者を継続する場合
現在免税事業者で、インボイス制度スタート後も免税事業者を継続する場合には、適格請求書発行事業者としての登録ができず、適格請求書を発行することができません。
適格請求書を発行できなければ、取引先が仕入税額控除を受けられず、利益が減ってしましますので、契約金額の見直しや契約の終了を求められる可能性があります。
年間の課税売上高が1,000万円以下の個人事業主やフリーランスは、納税が免除される免税事業者が多いので、どのケースを選択するか考えなければなりません。
令和5年度税制改正大綱について
2022年12月16日に発表されました令和5年度与党税制改正大綱で、個人事業主やフリーランスに関係する内容が含まれていましたのでご紹介します。
第一 令和5年度税制改正の基本的考え方等
5.円滑・適正な納税のための環境整備
(1)適格請求書等保存方式の円滑な実施について①インボイス発行事業者となる免税事業者の負担軽減
これまで免税事業者であった者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を売上税額の2割に軽減する3年間の負担軽減処置を講ずることりより、納税額の激変緩和を図る。この処置により、簡易課税制度の適用を受ける場合に比べ、さらに事務負担が軽減される。(令和5年度与党税制改正大綱より一部抜粋)
「免税事業者が適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)になった場合は、3年間は税額すべてを納税する必要はなく売上税額の2割でいい」という内容なので、免税事業者であったフリーランスの方が適格請求書発行事業者になる場合にはメリットが大きい内容だと思います。
また、2023年10月1日から適格請求書を発行する場合は、2023年3月31日までの登録申請期限がありますが、今回の税制改正により、特段の事情がなくても2023年4月以降も登録申請が可能になりました(改正前は「困難な事情」の記載が必要でしたが、改正後は「困難な事情」の記載が不要です)。
第二 令和5年度税制改正の具体的内容
四 消費課税
1 適格請求書等保存方式に係る見直し
(4)適格請求書発行事業者登録制度について、次の見直しを行う。
(中略)
(注)上記の改正の趣旨等を踏まえ、令和5年 10 月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者が、その申請期限後に提出する登録申請書に記載する困難な事情については、運用上、記載がなくとも改めて求めないものとする。
(令和5年度与党税制改正大綱より一部抜粋)
まとめ
現在当社で契約及び登録されている方々は、「課税事業者」を選択する方が多いようだミィ。
正直なところ、現時点で今回の制度変更は個人事業主やフリーランスにメリットはあまりないミィが、取引先には「課税事業者」との契約を望む声が多いことは事実だミィ。この機会にどちらを選択するかを検討する必要があるミィ!
参考:令和5年度税制改正大綱
※本記事の正確性については最善を尽くしますが、これらについて何ら保証するものではありません。本記事の情報は執筆時点(2022年12月)における情報であり、掲載情報が実際と一致しなくなる場合があります。必ず最新情報をご確認ください。