2024年11月施行フリーランス法について

今回は、3ヵ月後の2024年11月1日から施行されますフリーランス法についてどのような内容なのか説明します。

フリーランス法は、以下のようなトラブル回避をするために、施行されます。

  • フリーランスが納得いかない理由等で、契約金額を減額された。
  • 契約金額の支払日なのに遅延している。
  • 企業から事前に説明もなく、一方的に契約解消させた。

など

 

法律の主な目的

  1. 1.フリーランス、企業との取引適正化
  2. 2.フリーランスの就業環境の整備

 

フリーランス法とはなにか

概要は下の図になります。


公正取引委員会フリーランス法特設サイトより

 

■取引の適正化

2つの義務とは

  • 1.取引条件の明示義務について
    フリーランスに対して業務委託をした場合は、書面または電磁的方法(メール等)で取引条件を明示する義務があり、明示方法は、口頭や電話等ではなく、書面または電磁的方法かを発注事業者が選択できます。

      取引条件として明示する事項は9つになります。

    1. ① 給付の内容について
    2. ② 報酬の額について
    3. ③ 支払期日について
    4. ④ 業務委託事業者・フリーランスの名称について
    5. ⑤ 業務委託をした日について
    6. ⑥ 給付を受領する日/役務の提供を受ける日について
    7. ⑦ 給付を受領する場所/役務の提供を受ける場所について
    8. ⑧ 検査をする場合の検査完了日について
    9. ⑨ 現金以外の方法で報酬を支払う場合の報酬の支払方法に関して必要な事項について
    10.  
      2.期日における報酬支払義務について
      報酬の支払期日は発注した物品等を受け取った日から数えて60日以内のできる限り短い期間内で定め、一度決めた期日までにフリーランスへ支払わなければなりません。
      また、委託業者から受けた業務を、発注事業者がフリーランスに再委託をした場合、一定の条件を満たせば、委託業者の支払期日から計算して、30日以内のできる限り短い期間内で支払期日を定めることができる再委託の例外もあります。

      7つの禁止行為について

      1. 1.受領拒否の禁止とは
        フリーランスに非がないのに、発注した物品等の受領を拒否することは禁止です。
        発注事業者の一方的な都合によるキャンセルも受領拒否になります。
      2. 2.報酬減額の禁止とは
        フリーランスに非がないのに、発注時に決定した報酬を、発注後に減額することは禁止です。
      3. 3.返品の禁止とは
        フリーランスに非がないのに、発注した物品等を受領後に返品することは禁止です。
      4. 4.買いたたきの禁止とは
        通常支払われる契約金額に比べて、著しく低い報酬の額を不当に定めることは禁止です。
      5. 5.購入・利用強制の禁止とは
        正当な理由がないのに、発注事業者が指定する業務に関係のない製品やサービスの購入・利用を強制することは禁止です。
      6. 6.不当な経済上の利益提供要請の禁止とは
        不明な協賛金を提供させたり、配送業務をお願いしているフリーランスに、無償で業務外の作業をやらせたりすることは禁止です。
      7. 7.不当な給付内容の変更・やり直しの禁止とは
        フリーランスに非がないのに、作業に要した費用を発注事業者が負担することなく仕事内容の変更や、やり直しをさせることは禁止です。
    11.  

      ■就業環境の整備

      4つの義務とは

      1.募集情報の的確表示義務について
      発注事業者が広告等で募集情報を出す場合、虚偽の表示や誤解を招く表現をしてはならないので、的確な表示をしなければなりません。

      2.育児介護等と業務の両立に対する配慮業務について
      発注事業者は、妊娠・出産・育児・介護と業務を両立できるよう、一定期間継続する契約を締結する必要があります。
      フリーランスから申出があった場合には、必要な配慮をしてフリーランスの希望に沿う対応をしなければなりません。
      フリーランスに対して6か月以上の業務を委託している場合、フリーランスからの申出に応じて、フリーランスが育児や介護などと業務を両立できるよう、必要な処置をしなければなりません。
      また、6か月未満の業務を委託している場合も同様になります。

      3.ハラスメント対策に係る体制整備について
      ハラスメントによりフリーランスの就業環境が悪くならないように、相談対応のための体制整備などの必要な措置を講じなければなりません。

      4.中途解除等の事前予告・理由開示義務について
      フリーランスに対して6か月以上の業務を委託している場合、契約の解除等で契約終了の際は、少なくとも30日前までに、口頭や電話以外での方法でその旨をフリーランスへ伝えなければなりません。
      また、予告がされた日から契約が満了するまでの間に、フリーランスが解除の理由を請求した場合、同様の方法により遅滞なく明確に開示する必要があります。

      以上が今回改正されたフリーランス法になります。

      また、公正取引委員会がフリーランス及びフリーランスと取引を行う事業者に向けて説明会を実施しているので、よければご確認ください。
      ※東京はすでに満席になっているので、今後追加される可能性があります。

      フリーランス法説明会の実施について

       

      まとめ

      フリーランス法が成立されれば、契約のトラブルや労働環境が現状よりも改善される可能性が高まりますので、フリーランスの方が働きやすい環境になると思います。
      働きやすい環境になることで、正社員からフリーランスになる方も増える可能性があります。
      企業が今回のフリーランス法をきちんと守って、フリーランスの働く環境がこれまで以上に整備されるといいですね。