知っておきたいフリーランスと業務委託の違い。契約において意識したいポイント
これからフリーランスとして独立したいと考えている人は、自分を守るための知識を身に付ける必要があります。
そもそもフリーランスと業務委託とは何が違うのか、フリーランスとして仕事の契約をする際に注意すべきことは何かなど、知っておくべきことはたくさんあります。
今回は、フリーランスや業務委託について、詳しくご説明します。
目次
業務委託とフリーランスの違い
フリーランスとして働く、業務委託契約を結ぶという言葉が使われますが、この二つの言葉は一体何が違うのでしょうか?
独立して働くときに知っておきたい、業務委託とフリーランスの違いについてご説明します。
業務委託は「契約」、フリーランスは「働き方」のこと
そもそも、「業務委託」と「フリーランス」という2つの言葉は指す対象が全く異なります。
業務委託とは取引先と結ぶ契約の種類のことで、フリーランスは企業などに所属せず独立して働く働き方のことを指します。
業務委託とは、取引先から仕事を受注し特定の業務を委託されて働くことです。
このような形態の取引先との契約のことを業務委託契約と言います。
一方、フリーランスとは、企業や団体などに所属せず個人で働く働き方のことです。
その語源は、実は中世ヨーロッパの時代にあると言われています。
この時代、権力者や有力者に契約して仕えた槍騎士のことを「フリーランス」と呼んだそうです。
業務委託契約には2種類ある
業務委託契約には、請負契約と委任契約の2種類があるのをご存知でしょうか。
フリーランスとして働く際には、このどちらかの契約を結んで働くことが多いと思います。
この時、契約の内容の違いや契約の詳細を知らなければ、不利な契約を結ぶことになるかもしれません。
そうならないためにも、業務委託契約について正しい知識を身につけておきましょう。
請負契約
請負契約とは、請け負った仕事を最後まで完成させることが目的となっています。
そして、その仕事の結果に責任を負うのが、請負契約の最も重要なポイントです。
例えば、あるシステムの開発の請負契約を結んだとします。
そのシステムが完成し納品するまで責任をもって取り組まなければならないのはもちろんのこと、システムの運用が始まってから生じた不具合やバグに対しても責任を負う契約もあります。
そのため、運用開始後に不具合が発生した際に、どのような対処をすべきか、ということも契約の中に含まれていることがあります。
このように、請負契約とは請け負った仕事の結果にまで責任が生じる、責任が重い契約になります。
委任契約
委任契約とは、請負契約ほど責任の重くない契約です。
委託された業務を完了し、取引先が求める品質や完成度の成果物を収めればそれで終了です。
請負契約のように、仕事の結果に責任を負う必要はありません。
もちろん、契約の内容に沿った品質や完成度の成果物を納品する必要はあります。
しかし、納品時に納品が認められれば、その後に不具合が発生しても重大なミスが混入していた場合などを除き、基本的には責任は無いことになります。
例えば、イラストデザインやホームページ制作などの仕事において、委任契約が適用されることが多いです。
業務委託契約の流れ
業務委託契約とは、どのように締結されるのでしょうか。業務委託契約の流れについてご説明します。
・仕事内容の提案と見積もり
まずは、仕事の内容について発注者と受注者が意見をすり合わせます。
発注者からどのような成果物や品質の仕事が求められているのか、受注者がどのような提案ができるのかなど、仕事内容のすり合わせを行います。
そして、簡単な見積もりを発注者に提示します。
・仕事の詳細や条件の交渉
簡単な見積もりを提示して発注者からの好感触を得たら、詳細な条件交渉に入ります。
仕事内容のより詳しい条件や、報酬、仕事の期間などを、詳しく交渉します。
このフェーズが最も重要なところです。
ここで交渉が決裂すれば話は終了になります。
・契約締結
お互いが条件を承諾して詳細な条件を契約書にまとめれば、契約の締結です。
・作業
契約条件を元に、作業を行います。
・成果物確認後に納品
成果物が完成したら、発注者に内容を確認してもらいます。
その結果、問題が無ければ納品となります。
・報酬の支払い
納品が完了後、報酬の支払いとなります。
業務委託契約において意識したいポイント
業務委託契約を行ううえで、意識しておきたいポイントについてご説明します。
契約形態の確定
上記でご説明した委任契約なのか請負契約なのかを、しっかりと確定させることが重要です。
どちらになるかによって仕事完了後に責任が生じるか生じないかが決まるので、非常に重要なポイントです。
契約書に「業務委任契約」または「業務請負契約」などという明確な文言を必ず入れましょう。
「○○業務を委任する」「○○業務を請け負う」などという文言でも構いません。
作業内容・条件の確認
仕事を請け負う際に最も重要なのが、仕事の内容や条件をきっちりと取り決めておくことです。
契約時に仕事内容や条件を明確に定義しておかなかったために、納品時にトラブルが起こるという失敗はよくあります。
例えば、システム開発を契約した際に、発注者としては全自動でデータの出入力ができるシステムを期待していたのに、受注者側はそうは考えず手動のシステムになったなどという、仕事内容そのものに齟齬が生じるケースもあります。
また、報酬や期間の細かい取り決めがなくあやふやなまま受注してしまうと、完了時にトラブルが起こってしまいます。
報酬額や納品の日時を明確に契約書に記載するのはもちろんのこと、請け負った仕事内容の詳細もきっちりと契約書に明記しておきましょう。
仕事の品質レベルや機能レベル、サービスレベルなどまで事細かに条件を記載しておくことが重要です。
そのためには、発注者と受注者が契約前にしっかりと仕事内容と条件をすり合わせておく必要があるでしょう。
相手の連絡先の控え
フリーランスで仕事をする人の中には、クラウドワーカー向けの受発注プラットフォームなどを利用しスカイプやチャット、メールなどを使って実際に顔を合わせることなく仕事の受注から完了までを済ませてしまうこともあります。
このような仕事形態で仕事をしている場合によくあるのが、発注者の連絡先を知らない、知っていても実体のない会社だったなどというケースです。
そして、仕事を完了して納品したとたん、発注者と連絡が取れなくなり報酬がもらえなかったなどというトラブルが起こることもあります。
このようなトラブルを防ぐために、相手と確実に連絡が取れる連絡先を確認しておきましょう。
住所を調べてその会社が実在しているか、実際に連絡を取ってみて相手が出るか、あらかじめ確認しておいてください。
報酬面はプロジェクトごとに確定する
報酬面の条件に関しては、毎回必ず確認しプロジェクトごとに確定するようにしてください。
報酬に関して細かく言うのが苦手という人も多いと思います。
お得意様だから言い出しづらい、毎回なぁなぁで話を進めてしまうなどということも多いかもしれません。
しかし、報酬の条件は仕事で最も重要なものです。
プロジェクトが変わってもいつもと同じで、などと報酬の話をしないのは良くありません。
毎回しっかりと報酬について確認しましょう。
フリーランスも業務委託契約書を締結できる
フリーランスだからと言って、詳細な契約書を締結できないなどということはありません。
むしろ、詳細な契約内容を明記した、業務委託契約書を必ず締結しましょう。
フリーランスで働く人は、自分を守ってくれる人が自分以外にいません。
ですから、契約書を毎回しっかりと締結することで、自分の身を守るようにしましょう。
まとめ
フリーランスと業務委託という言葉について詳しくご紹介してきたミィ。
業務委託には、仕事の結果にも責任が生じる請負契約と、仕事そのものを仕上げれば良い委託契約があるミィ。
この契約形態の違いや仕事内容、条件のすり合わせをしっかりと行うことで、トラブルを未然に防ぐことができるミィ!
業務委託契約書を毎回必ず締結し、詳細な仕事内容や条件を明記しておくようにすると良いミィ。
また、発注者の連絡先の確認をしておくことも重要だミィ。
仕事内容や条件を契約書という形で残しておくことが、フリーランスとして働く人を守ってくれるミィ!